朝から雲ひとつない秋晴れ。窓の外に広がる青空を見た瞬間、今日はどこかへ走り出したくなった。空気は澄んでいて、遠くの立山連峰までくっきりと見える。こういう日は、ペダルを回す音さえも心地よく感じる。ロードバイクを準備しながら、行き先を思案する。今日は富山市の自宅から八尾の杉原神社へ立ち寄り、そのまま高岡大仏まで足を延ばしてみよう。目的地を決めた瞬間、胸の奥がふっと高鳴った。静かな神社、穏やかな街並み、そして秋の風。そんな一日が始まる。
- 富山市から八尾の杉原神社を経て高岡大仏までロードバイクで走る秋のサイクリング
- 杉原神社で静かにお参りし、安全祈願
- 八尾の風情ある町並みを抜け、井田川の清流を眺めながら高岡へ
- 秋空に映える高岡大仏を参拝し、穏やかな時間を過ごす
- 老舗茶舗「木田芳香園」で名物の抹茶ソフトを味わい、旅を締めくくる
- 自然・文化・味覚を楽しむ、秋の富山ローカルサイクリング記
八尾の山あいへ|杉原神社で静けさに包まれる
鳥居の前でひと息つく

富山市街を離れ、少しずつ山の空気が濃くなっていく。緩やかな上り坂を越えると、杉原神社の鳥居が見えてきた。木々の間から差し込む光が鳥居をやわらかく照らし、まるで道行きを導いてくれているように感じる。自転車を降り、鳥居の前で一礼。愛車を背景に記念の一枚を撮る。澄んだ空気と、静まり返った境内の気配が心を落ち着かせてくれた。
朝の静けさに溶け込む

ゆっくり参道を進むと境内には人の姿がなく、聞こえるのは風と鳥の声だけ。拝殿の前で静かに手を合わせると、日常の喧騒から少し離れたような気持ちになる。神社の木の香り、冷たい空気、そして静寂。そのすべてが心地よく、心が少し軽くなった。「今日も安全に走れますように」── 小さく願いを込めて、再びペダルを踏み出した。

- 名称:杉原神社
- 住所:富山県富山市八尾町黒田3166−4868
- 電話番号:0764-54-3501
- 定休日:なし
- 営業時間:9:00~18:00
- 駐車場:あり
- 関連サイト:公式ホームページ

公式サイトで、事前に情報を確認してくださいね!
風の盆の町を抜けて


神社を後にして、八尾の町中を抜けていく。格子戸の家々、石畳の通り、そして静まり返った路地。どこを切り取っても絵になるような風景が広がっていた。この町は「おわら風の盆」で有名だが、祭りの喧騒が去った今は、まるで時間がゆっくりと流れているかのよう。窓辺に吊るされた風鈴が小さく揺れ、秋風にカランと鳴る音が耳に心地よい。坂の多い道を軽くダンシングで登り、振り返ると、山あいの町並みが陽の光にきらめいていた。穏やかなこの景色に、思わず深呼吸。まるで町そのものが微笑んでいるようだった。
井田川の清流を渡って


八尾から高岡方面へ向かうと、井田川の橋に差し掛かる。水は驚くほど透明で、秋の空を映して青く光っている。川のせせらぎとともに、トンボが一匹、風に乗って通り過ぎていった。橋の上で足を止め、しばらく川を眺める。流れる水の音、吹き抜ける風の音、そして自分の鼓動だけが重なり合う。季節の変わり目を、肌で感じる時間だった。
高岡の街へ|大仏との再会
大仏の入口で


道のりは平坦になり、街の気配が近づいてくる。商店街のアーケードを抜けると、正面に大きな青銅の姿が現れた。高岡大仏だ。入口でロードバイクを停め、しばし眺める。穏やかで優しい表情に、長い年月を超えてきた重みを感じる。ここに来ると、なぜかほっとする。
秋空に映える青銅の輝き


大仏の全景を見上げると、秋の青空を背景に深い緑が美しく映えていた。その姿には力強さよりも、静かな包容力を感じる。見つめていると、走ってきた疲れも自然と癒やされていくようだった。「無事にここまで来られました」心の中でそっと感謝を伝え、頭を下げた。
- 名称:木田芳香園
- 住所:富山県高岡市大手町11-29
- 電話番号:0766-23-9156
- 定休日:不定休
- 料金:志納
- 駐車場:無料駐車場・近隣の有料駐車場
- 関連サイト:公式サイト



公式サイトで、事前に情報を確認してくださいね!
木田芳香園で味わう至福のひととき
老舗の香りに誘われて


参拝を終えたあとは、大仏のすぐ前にある老舗茶舗「木田芳香園」へ。格子戸をくぐると、ふんわりとお茶の香ばしい香りが漂ってきた。店内には静かな時間が流れ、丁寧に並べられた茶缶が美しく光っている。観光客や地元の人たちが立ち寄る人気の店で、名物の抹茶ソフトが評判だという。この心地よい空気の中で、旅の締めくくりにぴったりの甘味を味わうことにした。
抹茶ソフトで旅を締めくくる


手渡されたソフトクリームは、濃い緑色。ひと口食べると、石臼で挽かれた抹茶の香りがふわりと広がり、ほどよい苦味と甘さが口いっぱいに広がる。心地よい冷たさが、走り終えた体にすっと染み渡る。近くのベンチに腰を下ろし、穏やかな風を感じながらソフトを味わう。青空の下、旅の余韻にひたるひととき。「今日もいい日だったな」──そんな言葉が自然とこぼれた。
- 名称:木田芳香園
- 住所:富山県高岡市定塚町1200
- 電話番号:0766-24-0120
- 定休日:水曜日
- 営業時間:9:00~18:30(日・祝日のみ9:00〜17:00)
- 駐車場:近隣の有料駐車場
- 関連サイト:木田芳香園



公式サイトで、事前に情報を確認してくださいね!
秋風とともに帰路へ(おしまいに)
外に出ると、午後の日差しが傾きはじめていた。ペダルを踏みながら振り返ると、遠くに大仏の頭が小さく見える。秋の空はどこまでも高く、風はやわらかく、街の色が少しずつ夕暮れに染まりはじめていた。静かな神社に始まり、古都の香りに包まれた大仏の前で終わる。そんな一日が、思っていた以上に心を満たしてくれた。“走る”というより、“感じる”旅。秋の終わりの光と風の中で、自転車に乗る喜びをあらためて噛みしめた。



最後までご覧いただき、有難うございました。今回は「旅エッセイ風」に語り口を整えてみましたが、いかがでしたでしょうか。また、いろいろな構成にしてみようかと思います。




コメント
コメント一覧 (2件)
八尾の町は真夏の暑い日に
カメラを下げて散策しました。
女優(お笑い?)の柴田理恵さんと
同級生だという地元の方と
楽しく話をしたのを覚えています。
応援ぽち
よっちんさん、おはようございます。コメントありがとうございます。
八尾の町を真夏に歩かれたのですね。あの独特の情緒ある街並みは、暑い季節にもどこか涼やかさを感じさせてくれます。地元の方との出会いも、旅の記憶をいっそう豊かにしてくれますね。柴田理恵さんと同級生というお話も、八尾の人々の温かさが伝わってくるようです。